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LINEモバイルなどのゼロレーティングをどこより簡単に解説 仕組みや注意点

ゼロレーティングとは何? カウントフリーと関係あるの?

LINEやポケモンGOなどの利用で生じる通信費用を無料とするサービスが2016年に続々登場したことで、「ゼロレーティング」というキーワードがネットワーク関連のニュースを賑わせています。ネットワークを生業としていない一般的なユーザーからすると、ゼロレーティングより、LINEモバイルなどのサービスで使われている用語「カウントフリー機能」と言った方が伝わりやすいかもしれません。基本的に両者は同じものです。

  • 「カウントフリー機能」とは?

英語で「zero rating(評価しない・見積もりしない)」と書くゼロレーティングより、カウントフリー(count free)といった方が、サービス名に使われているだけてあってイメージしやすいかもしれませんね。カウントフリー機能の意味を正確に説明すると、モバイル通信サービスにおいて特定の通信によって発生するデータ通信量を、プランに含まれる月間データ通信量のカウントから除外する、というものです。

LINEモバイルだけでなく、ソフトバンクやドコモ、auといった大手携帯キャリアのデータプランや楽天モバイルなどの格安SIMサービスでは、プラン毎に高速なモバイル通信を行うことができる月間データ通信量が決まっています。たとえばそのプランで決められた月間データ通信量が10GBならばその容量を消費するまで通信速度は速いですが、それを超えると月末まで通信速度が最大200Kbps・最大128Kbpsとなる通信制限が実施されます。

通信制限がかかる前であれば動画を鑑賞したりネットサーフィンしたりするのも快適ですが、通信制限後は通信速度が遅くなるので動画が視聴できなくなる、ホームページが開くのが遅くなるなど、快適にインターネットを使うことができません。また月途中にこの制限を解除して低速通信の状況から回復するには、1GBあたり1,000円などでデータ通信容量の追加購入が必要。結果、通信費用が高くなってしまうわけです。

カウントフリー機能ではこの月間データ通信量のカウントから各サービスで指定された通信が除外されるので、データ通信容量を気にすることなくその通信を行えるようになります。ユーザーからすると、とても便利でうれしい機能といえますね。

たとえばLINEモバイルのカウントフリー機能では、LINEを使ったメッセージ送受信・ビデオ通話・ファイルの送受信をはじめ、プランによってはTwitter・Facebook・InstagramといったSNS、LINE MUSICなどもカウントフリーの対象です。LINEがカウントフリーとなるプランは「LINEフリープラン」、さらにTwitter・Facebook・Instagramも対象となるのは「コミュニケーションフリープラン」、それにLINE MUSICも対象に加わるのは「MUSIC+プラン」と言います。

ちなみに株式会社ドリーム・トレイン・インターネットが運営する「DTI SIM ノーカウント」プランでは、2016年の流行語にもなった大人気アプリ「ポケモンGO」がカウントフリーの対象。このように各会社・プラン毎にさまざまなカウントフリーサービスが展開されています。

ゼロレーティングの仕組みを簡単に紐解こう

ゼロレーティングにはDPI(Deep Packet Inspection)という技術が使われています。DPIでは、IPパケット(Packet)と呼ばれるインターネットの通信でやり取りされるデータ単位の内容を、深く(Deep)検査(Inspection)します。より具体的には、DPIとはIPヘッダの送信元IPアドレス・送信先IPアドレス・プロトコル番号・ポート番号・ペイロード(データそのもの)の内容まで検査するものです。

簡単にざっくり言ってしまうと、通信の内容を解析する技術と簡単にとらえても間違いではありません。DPIでは、どこからどこに対して接続したか、その際どういった内容の通信を行ったかなどを解析しています。ゼロレーティングを成立させるために、通信サービスの事業者はDPIによってユーザーの通信内容を検査し、それが月間データ通信量のカウントの除外対象か否かを判定するわけです。

  • ゼロレーティングを運用する通信事業者とは?

たとえばLINEモバイルの場合、ゼロレーティングの仕組みを構築し運用するのは実は提供元であるLINE モバイル株式会社ではありません。ともすれば複雑になりやすいゼロレーティングの技術についてより詳しく理解するためには、少々横道に外れるようですが、MNO事業者・MVNO事業者・MVNE事業者の概念について知ることが必要です。

・MNO(Mobile Network Operator)事業者

モバイル通信の回線網を設置・運用・管理する事業者のことです。日本では、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクモバイルの3社がMNO事業者となっています。

・MVNO(Mobile Virtual Network Operator)事業者

MNO事業者からモバイル通信者回線網を借りて、独自の付加サービスをつけてユーザーに提供する事業者のことです。LINEモバイルを運営するLINEモバイル株式会社をはじめ、楽天モバイルを運営する楽天株式会社などがMVNOサービスを提供しています。

・MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)事業者

MVNO事業者に代わって回線の管理、スマホなどの端末の調達、課金システムの構築・管理をする事業者のことです。たとえばLINEモバイルでは、NTTコミュニケーションズがMVNE事業者となって、黒子のようにLINEモバイルのサービスを支えています。

つまりLINEモバイルにおけるゼロレーティングは、LINEモバイル株式会社ではなくNTTコミュニケーションズが運営しているわけです。ゼロレーティングに限りませんが、モバイル通信のサービスはこのようにMNOを含めてさまざまな通信事業者が関わって作り上げられています。

ゼロレーティングにまつわる3つの課題とは?

ユーザーにとっては一見便利で歓迎すべき機能のように見えるゼロレーティング、もしくはカウントフリー機能。しかしこの技術には、問題や課題がないわけではありません。ここでは、一般によく言われる3つのゼロレーティングの課題を紹介します。

  • 課題1:「通信の秘密」は守られるの?

ゼロレーティングの仕組みをはじめて知った時、「おや?」と不思議に感じる人もいるでしょう。ゼロレーティングを実現するDPIという技術では、ざっくり簡単に言うとユーザーの通信の内容を参照しています。もっと直接的な言い方をすれば、ユーザーがどのような通信を行っているかを覗き見ているわけですね。「通信会社がこんなことをしてもいいのか」と思った人もいるのではないでしょうか。

実際、日本国憲法第21条第2項には「通信の秘密を侵してはならない」と記載されています。また電気通信事業法第4条にも「電気事業通信者は通信の秘密を侵してはならない」とあります。それではDPIはこれらのルールに反しないのか。いえ一般的な感覚として、通信事業者がユーザーの通信の内容を参照してもよいものなのか、と思いますよね。

LINEモバイルを例にとるとさらに問題はややこしくなります。ユーザーが契約しているLINEモバイル株式会社ではなく、MVNEとしてシステムを支えているNTTコミュニケーションズが通信の内容を参照しているわけです。

ただし通信の内容を確認しないと、MVNOやMVNEはゼロレーティングに限らずサービスの課金や通信システムの維持管理もできません。そこで刑法では「正当な業務行為であれば罰しない」というルールを定めています。「通信当事者の同意があれば、通信当事者の意思に反しない利用である限り、電気事業通信者は通信の秘密を侵害することが許容される」というルールもあります。

ただ通信サービスの運用に絶対必要な課金の場合はともかく、ゼロレーティングについては刑法で言うところの「正当業務行為」にあたるかは議論の分かれるところです。少なくとも、通信当事者つまり契約者であるユーザーに事前に注意喚起をして許可を得てからサービス提供すべきと言えるでしょう。

しかしながらMVNOの中にはこの手順を踏まずにゼロレーティング(カウントフリー機能)を提供しているところもあるようです。LINEモバイルでは「カウントフリーについての注意点」として、以下2点をオンライン申込時にきちんと説明しています。

・カウントフリー機能の業務をMVNEに委託していること

・カウントフリー機能を実現するための必要最低限の通信内容を自動的に識別していること

  • 課題2:「ネットワーク中立性」は保たれているのか?

「ネットワーク中立性」とは聞き慣れない言葉ですよね。著者もゼロレーティングについて勉強する際に初めし知った言葉ですが、これは通信事業者がコンテンツやアプリケーションなどを公平に扱うべきという意味を示します。それによって新しいコンテンツやアプリケーションが生まれやすい土壌を確保するのが目的ですが、特定のアプリケーション・コンテンツの通信を優遇(?)するゼロレーティングは、このネットワーク中立性を脅かさないとも限りません。

ユーザーの視点でみると短期的には目の前のサービスがデータ通信量無料となり使いやすいゼロレーティングですが、長期的な視点に立てば、より利便性が高く低価格なサービスが登場しにくくなるとも考えられるわけです。その一方でゼロレーティングこそ、そもそもユーザーにとって便利なサービスともいえるわけで、ネットワーク中立性に関する議論の答えは出ていないのが実際のところ。この点は今後より活発な議論が待たれるところです。

  • 課題3:コストの「公平性」はとれているのか?

特定のコンテンツやアプリケーション・サービスに対して発生するデータ通信量に対して課金せずに無料とした場合、そのコストは誰が負うのが公平なのかという問題です。たとえばMVNOがその負担をゼロレーティングのサービス利用者に強いてしまっては本末転倒ですから、そのMVNOの通信回線の月額料金で賄われる可能性も考えられるわけです。

負担を強いられたサービスのユーザーは、ゼロレーティングの恩恵を受けていないのに余分なコストを支払っていることになり不公平な状態といえます。公平性に関する議論も、まだ結論が出ているわけではありません。しかしユーザーとしては、より適切にサービスを検討・評価するためにも、こういった可能性があるということは頭の片隅に置いておくべきかもしれませんね。

ゼロレーティングに関してユーザーは何を注意すべきか

特定の通信に関するデータ通信量を実質的に無料としてくれるゼロレーティング(カウントフリー機能)はユーザーにとって非常に魅力的な機能です。ただしゼロレーティングの3つの課題(通信の秘密・ネットワーク中立性・公平性)は、ユーザーの利用にとっても影響があります。

まず通信の秘密について、ゼロレーティングが行われることで通信の内容が(必要最低限とはいえ)参照されていることは認識しておくべきでしょう。大事な情報を守るために通信の秘密がより確実に保たれるゼロレーティング以外のサービスを使う、という考え方も今後でてくるかもしれません。特に機密情報を多く扱うビジネスでは、シビアに問題視される可能性があります。

次に新規サービスが生まれにくくなる可能性があるというネットワーク中立性や、ゼロレーティングで無料となった通信のコストを誰が支払うのかという公平性に関する課題は、すぐに影響しないまでも、「こういうことがある」程度に覚えておきましょう。ゼロレーティングに限らず、今後関連するサービスの利用を検討する際の1つの知識にはなります。

  • ゼロレーティングの機能や価値を正しく知ることも必要

日本のゼロレーティングはまだまだ始まってまもないサービス。ユーザーがこの機能を正しく活用できていないケースや、正確に理解していないこともあるでしょう。

たとえばLINEモバイルのカウントフリー機能が付与したプランのユーザーが、仮にネットサーフィンとLINEでのテキストのメッセージ・無料通話のやり取りぐらいしかモバイル通信を使っていないなら、ゼロレーティングの恩恵を受けているとは言えません。LINEのテキストでのメッセージ送受信や無料通話は、最大200Kbpsのような通信制限下の低速通信でも利用できるからです。またテキストでのメッセージ送受信や無料通話でそこまで長電話をしなければそもそもごく微量のデータ通信量しか消費しません。それならカウントフリーの機能がないより低価格なサービスや、他の付加機能がついたサービスを契約した方がよいかもしれません。

一方、ビデオ通話やファイル送受信用にLINEを使っていれば高速な通信速度が必要でなおかつ消費されるデータ通信量も多くなると考えられます。このような通信を頻繁に行うならゼロレーティングの恩恵を受けていると言えますね。

カウントフリーの対象でないのにそう勘違いして膨大なデータ通信量を消費してしまい、通信制限に抵触するというケースもあるでしょう。たとえばLINEモバイルのカウントフリー機能では、LINEでのメッセージ送受信や無料通話・ビデオ通話は対象でも、ツムツムなどのLINEゲーム、LINE LIVEは対象外です。またTwitterの利用が無料のプランがありますが、Twitterによく埋め込まれることがあるYouTubeの動画をタイムライン上で鑑賞しても、それはカウントフリーの対象とはなりません。

カウントフリーの対象と思い込んで使い過ぎていたら、知らぬ間に月間データ通信量を使い切ってしまい通信制限が適用されてしまった、ということもおこりかねます。こういったことが起こらないように、契約前にカウントフリーの対象が何かを把握しておくべきですよね。

ゼロレーティングやカウントフリーを採用したサービスを使う場合は、自分の利用に合うのか、対象をきちんと把握して正しく使えているのか注意しましょう。そうしてサービスを正しく理解して使うことで、ゼロレーティング・カウントフリー機能とより適切に付き合っていくことができます。さらに、それによってゼロレーティング・カウントフリーのサービスが発展していく土壌も形成されていくでしょう。