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公開日:2020/10/30
最終更新日:2020/11/06

ヘイトやデマだけじゃない?Twitterには「愛」も溢れています

Twitterは、批判や炎上など何かと“負の現象”ばかりが話題になってしまいます。Twitterに興味はあっても、これら負の印象のせいで利用をためらう人も少なくないでしょう。

桃山学院大学の水沼友宏先生は、Twitterにおけるユーザー行動や「バースト」現象について研究しておられます。Twitterの負の印象ばかりが目立つTwitterでも、幸せな使い方はいくらでもできることを、水沼先生に教えてもらいましょう。

水沼 友宏(みずぬま・ゆひろ)
水沼先生の画像

桃山学院大学経営学部経営学科講師。筑波大学情報学群知識情報・図書館学類卒業、同大学院図書館情報メディア研究科博士前・後期課程修了。

2018年に図書館情報学博士号取得。駿河台大学メディア情報学部助教を経て、2020年4月より現職。研究分野は公共図書館におけるマイノリティサービス、ソーシャルメディアにおけるユーザーの行動など。

Twitterが盛り上がるのはマイナスの事象だけじゃない

―図書館情報学が専門の水沼先生が、Twitterについて調査されたきっかけを教えてください

Twitterの情報分析を始めたのは学生時代です。

偶然にも、大学内でTwitterに関するデータを利用できる環境が整っていました。「このデータを使って研究をしてみないか」とアドバイスをいただいたのがきっかけです。

図書館情報学は、人々があらゆる情報を手早く、的確に手に入れるための学問です。図書館だけを対象にしているわけではありません。ですから、Twitter—ソーシャルメディアを研究対象にしたことは、ある意味しぜんな流れだったと思います。

―Twitterの研究では、これまでにどのような取り組みをされましたか?

これまでは、Twitterユーザーの行動規範について研究してきました。Twitterに「バースト」が起こる瞬間について分析したこともあります。

地震などの災害、人気アニメの再放送、著名人逮捕の事件など、大勢が注目する社会現象が起こった時、これらについて一斉にツイートされる現象をバーストといいます。私は2013年に発表した論文で、バースト現象が起こる要因の分析、そして類型化に取り組みました。

その後も、Twitterで気になった事象が起こると調査をしています。最近であれば、昨年Twitterで流行ったハッシュタグ「#好きです韓国」がつけられたツイートについて分析しました。

近年、日本のソーシャルメディアでは、国外、特に韓国にルーツを持つ人々に対する差別的言動が目立ちます。この傾向を懸念する人々から起こったのが、「#好きです韓国」のハッシュタグを付けてポジティブな投稿を行うムーブメントです。

―Twitterでは、ヘイトや偏見を誘発しかねないツイートが数多く投稿されているイメージがあります

実際、Twitterはヘイトが非常に多い場所で、マイナスの事象が拡散されてしまうこともあります。

けれども、一方で「#好きです韓国」のように「そんなにネガティブなことばかりではないよ」と感じられるムーブメントも発生しているんです。そのことに私自身とても救われています。

伸び率が大きいのはポジティブなツイートなんです

―Twitterは今後どのように発展していくと思われますか?

予測することは、とても難しいです。私個人の希望としては、ポジティブな方向に発展してくれれば良いなと思っています。

今この時も、Twitter上ではヘイトやデマなどが絶えずつぶやかれています。炎上で傷ついている人も大勢いますね。

しかし、Twitterってそれだけではなくて、ポジティブなバーストも確実に起こっています。楽しいことを一斉につぶやいてみんなで盛り上がるなど、愛に溢れる瞬間もたくさんあるんですよ。

Twitter世界がネガティブな方向に偏り過ぎているという懸念も確かにあります。ですが、私としては「Twitterにはちゃんと仲間がいるんだよ」と思えるような場所であってほしいですね。

私も「ハッピーなことを見つけたい」という気持ちで研究に当たっています。

―これまでに「ハッピーだ」と感じられた研究結果はありましたか?

バーストのデータを解析していた時、私にとって嬉しい結果が出たことがあります。バーストは、ポジティブな時にもネガティブな時にも起こります。私ははじめ「双方を比較したら、怒りの感情がより多くのツイートを誘発するのでは」という仮説のもとに検証を始めたんです。

しかし、実際にデータを分析してみると、バーストの伸び率が高くなるのはネガティブな気持ちではなくて、ポジティブな気持ちを発信する時だったんですね。発生回数ならネガティブなバーストが多いのですが、つぶやきが大きく伸びて長く続くのは、実はポジティブな感情の方なんです。例えば、試合で応援している選手が優勝した時など、喜びのツイートの伸び率が高いとわかったことは収穫でした。

「みんなで楽しい・嬉しい気持ちを共有しよう」という空気は広まりやすいのですね。

Twitterは仲間とつながったり、当事者の発信を受け取ったりできる

―先生は、Twitterを利用する面白さはどこにあると思いますか?

まずは「呟く」行為自体に面白さがあると思います。

従来のコミュニケーションでは、マスコミにしても個人にしても、特定の相手に向けて発信する形態ばかりでした。Twitterでは、特定の誰かに宛てなくても自分の気持ちをつぶやけるところに面白みを感じます。

ふだんの生活ではつながることはない個人と知り合える部分も、とても面白いと思います。

私は小中学時代、熊本の田舎に住むオタクだったんですが、当時は周囲に仲間を見つけられないまま寂しく過ごしていたんです。今だったらきっとTwitterで友達を作って、楽しく趣味の話ができるのでしょうね。

―Twitterのメリット、またはデメリットはありますか?

“当事者”から直接情報が入ることは大きなメリットです。私は現在、LGBTQに関する研究に取り組んでいるのですが、Twitterを通して当事者の皆さんの発言を直接受け取ることができ、非常に有益だと感じています。

災害時では、被災者の発信をリアルタイムで見ることができるので、支援や避難などに役に立ちますね。

デメリットをあげるとすれば、これはTwitterに限った話ではないのですが、利用者はいい人ばかりではないということ。また、悪意のない人であっても、他の誰かを傷つけたり、デマ情報を流してしまったりする可能性も十分にあります。

私の過去の研究からも、やってはいけない行為だと認識していながら、事実かどうかわからない情報を、情報源を確認せずにリツイートしてしまうという人が多いことが判明しています。

後でデマ情報を訂正するツイートをしても、こちらはあまり拡散されない傾向にあります。「一度デマを流してしまったら取り返しがつかなくなる」意識をもって、Twitterを利用できるといいですね。

遠隔授業では「LINE WORKS」や「YouTube」を活用

―先生ご自身が活用されているインターネットサービスのうち、遠隔授業で役立ったものはありますか?

私の演習系の授業では、学生とのやり取りにLINE WORKS(ラインワークス)を使っています。

LINE WORKSはLINEのビジネス版のようなアプリで、慣れ親しんだLINEのインターフェースを、プライベートと切り分けながら活用できます。既読機能がついているので講師側としても便利です。

学生間でディスカッションしたり、グループでプレゼンを完成させたり、時には私が入ってサポートできるのがLINE WORKSです。無料で使える基本機能だけでも非常に充実しています。

講義形式の遠隔授業では、学生にとって身近な存在もであるYouTubeを利用しています。

巻き戻しも簡単で、字幕もつけられるので留学生にも安心して利用してもらえるのがメリットです。桃山学院大学はGoogleと契約していて、学内限定公開の機能も利用できます。

YouTubeはとても便利なツールです。私は高校時代にDVDで英語の授業を受けた経験があるのですが、わからないところを何度も再生したり、一旦止めて考えたりできたおかげで、英語力が上がりました。自分がDVDで感じたメリットを、YouTubeの授業で実現できて嬉しく思います。

講師側にとっても、あらかじめ撮っておいたものを公開すれば良いので、時間の融通がきいて便利です。私は人前よりもカメラの前で話す方が気持ちが楽なので、いいことづくめですね(笑)。

「YouTubeだと集中できない」という学生や、「データ容量を節約したい」という学生に向けては、音声とPDFのみのラジオ講座のような形式の配信も行っています。内容は同じなので、学生にはどちらか好きな方を選んで受講してもらっています。

―遠隔授業を受ける学生にとって、通信費がはね上がるのは悩ましいですね

そうですね。遠隔授業では、学生の負担が少ないツールを使うように心がけています。同時に、彼らにとって慣れ親しんだインターフェイスであることも大事だと考えていて、LINE WORKSやYouTubeを選択した理由もそこにあります。

YouTubeであれば、画質を落とせばデータの消費を抑えられることを学生に伝えています。また、プリンターを購入しなくても、コンビニでPDFデータがプリントできる方法なども紹介しています。

通信コストを抑える方法はたくさんあるので、読者の皆さんも工夫してみてはいかがでしょうか。