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APNとはAccess Point Name(アクセスポイント ネーム)の略で、モバイルデータ通信の接続先名のことです。たとえば、MVNOと契約するとSIMカードが自宅に届きます。そのSIMカードを端末にセット完了するところまでは大方理解されている方が多いと思います。しかし、それだけではインターネット接続が可能になるかというと答えは否です。Android・iOS問わず、端末にSIMカードをセットした直後にAPN設定を行って初めてモバイルデータ通信が可能になるのです。
キャリア契約時はキャリアがAPNの設定をしてくれていたのです。MVNOの契約になってAPNの設定が新たに発生したわけではありません。
答えはNOです。通話は音声通話対応のSIMカードが正常に認識されていればそれで十分なのです。APN設定が必要なのは「モバイルでインターネット接続」をする時のみです。
MVNOの契約はキャリア回線を間借りして行う通信サービスです。最初からその回線がインターネット接続可能なネットワーク回線かというとこれもNOだと言えます。キャリア契約でもインターネット接続をする際にはゲートウェイと呼ばれるサーバー経由でアクセスを行っているのです。
異なるプロトコル同士のネットワークを仲介し接続する装置です。本来、携帯電話やスマホなどの端末とPCの世界の通信規約は別々で直接接続が出来ないようになっています。しかし、携帯電話やスマホでもインターネット接続可能にするにはどこかでインターネット接続可能な決まり事の「翻訳」をしてやる必要があります。その装置がゲートウェイになるのです。
同じキャリア回線を借り受けて使うにも、ゲートウェイはMVNO毎に違います。APN設定とは契約したMVNOのゲートウェイを通るための目印を端末に教える約束事なわけです。
このテーマに関してはどちらとも言えません。契約しているMVNOによります。公式の配布アプリで通信速度の切り替えをサポートしているところでは、速度の切り替え時にAPNを切り替える必要はありませんし、そもそも登録するAPNが一種だけです。アプリ側の設定だけで速度の切り替えに対応しています。IIJmioやDMMモバイル、mineo等のMVNOではアプリ側の通信速度設定をサポートしています。
速度切り替え時にAPNを切り替えないといけないのはNifMoです。3G利用時の時のAPN、LTE利用時のAPN設定がそれぞれ別ですので、シチュエーションにより切り替える必要があります。
Androidでは2枚のSIMスロットがある端末がたまにあります。1スロットは主に海外用ですが、こういった2枚のSIMカードをセットできる端末ではどのようなAPNの扱いになっているのでしょうか。
スロット毎に設定を行うと考えてもらえればよいです。どちらのスロット番号にどのMVNOのSIMをセットしたかをちゃんと確認して設定を行いましょう。スロット番号を間違えがちで設定する値が逆になってしまうケースがよくあるようです。
ASUSのZenFoneシリーズでは優先して使うSIMスロットを「音声通話」「データサービスネットワーク」「Bluetooth通話設定」毎に決められます。
格安SIMでの通話定額制のあるSIMに通話を担当させ、データ通信は2番目のスロットに挿してあるSIMを使うような使い方も出来ます。しかし、2スロットとも4Gの対応端末が少ないのが現状です。デュアルSIM端末の主流の使い方は海外通話対応SIM(2G)と日本国内のSIM(3Gもしくは4G)をセットしておき、海外へ行ったときは2G、国内では4Gという使い方です。このような端末だと1台で国内・海外対応が出来ますので、海外へ行くときにはSIMカードの差し替えをしたり、端末そのものを持ち替えたりが不要になります。海外渡航が多い方におすすめできるタイプだといえます。
いくらマニュアル通りやれば良いと言われるAPN設定でもしなくて済むならそれに越したことはありません。格安SIMの契約にそのような状況はあるのでしょうか?
格安SIM契約には2種類あります。「端末のセット購入」と「SIMカードのみ」の2種類です。端末セット購入をすると、APNの初期設定済みで送付してくれるMVNOがあります。そのMVNOについてご紹介しておきましょう。楽天モバイル・IIJmio・mineo・UQ-mobileです。これらのMVNOなら「端末のセット購入」で契約すればAPNの設定をしてくれていますので、契約者自身で設定しなくてもいいのです。
上記以外のMVNOでは端末セット購入をしても、契約者自身でAPN設定を行わなければなりません。注意すべき点では「セット購入だから使えるようになっている」と思い込まないことです。
AndroidとiOSの2種類で設定方法を紹介します。ここではIIJmioと契約した際のAPN設定を想定して手順をご紹介しますが、APNの具体的設定値以外は他のMVNOでも通用するように記載しています。
APN名、ユーザー名、パスワード、認証タイプが代表的な設定項目です。MVNOによってはMCCやMNC等他の値の設定を指示されている場合もあります。指示通りに設定を行いましょう。他にもいろいろな設定項目がありますが、指示された項目以外は触らないでそのままにしておきましょう。設定が全て終わったらメニューボタンを押して「保存」をタップしてください。最後に保存をしないと、せっかくの設定値が台無しになってしまいますので注意してください。保存をしたら設定完了となります。
■IIJmioでの設定値
名前:IIJmioに接続すると分かる任意の名前をつけます。例:IIJmio
APN:iijmio.jp と入力
ユーザー名:mio@iij と入力
パスワード:iij と入力
認証タイプ:PAPまたはCHAP を選択(どちらか一方ということではなく、この名の通りの設定値です)
Wi-Fi接続をしている場合には「設定」→「Wi-Fi」の横にあるON/OFFスイッチをタップしOFFにしておきましょう。
■IIJmioでの設定値
APN:iijmio.jp と入力
ユーザー名:mio@iij と入力
パスワード:iij と入力
iPhoneやiPadなどのiOS系列の端末では「APN構成プロファイル」をダウンロードする必要があるため、Wi-Fiなどで前もってインターネット接続できる環境が必要になってきます。自宅にWi-Fiの接続環境が無い場合には公衆無線LANなどを利用しましょう。
全国で一番多いのはコンビニエンスストアのアクセスポイントだと思われます。先んじて近くのWi-Fiが使えるコンビニの位置チェックとWi-Fi接続用の設定をして向かうのが一番手っ取り早い方法です。コンビニエンスストアの無料Wi-Fiは会員登録が必要なのと、1日の接続時間と接続回数の制限があるのが一般的ですのでこの点には注意しておきましょう。