目次
端末名・型番 | IC-4810 |
メーカー | アイコム |
定価(税別) | 39,800円 |
出力 | 10㎽ |
電波・ 使用可能範囲 |
300m〜1㎞ (中継器で延長可能) |
周波数帯 | 420MHz/440MHz(中継器使用時) |
チャンネル数 | 20ch+27ch(半復信・中継装置使用時) |
防塵・防水機能 | IP57 |
本体重量 | 202g |
本体寸法 | 幅:56mm 高さ:97mm 奥行:26mm |
付属品・ オプション |
付属品:リチウムイオン電池、ベルトクリップ、 ハンドストラップ オプション:HM-104(タイピンマイク)、 HM-159FS(スピーカーマイク)など |
免許の要不要 | 不要 |
通信方式 | 単信方式および反複信方式 |
電信感度 | 0.44μ V以下 |
定格電圧 | D.C 7.4V |
電池の種類・ 電池持ち |
リチウムイオン電池 (約16時間使用可能) |
アイコムの「IC-4810」は、無線資格の要らない特定小電力トランシーバー(特小)です。IC-4810の出力は10㎽(ミリワット)と高くありませんが、障害物の多い市街地でも最大300m程度の距離で通信できます。障害物のない場所であれば、最大1㎞先との通信が可能です。
また、IC-4810の電波は、無線中継器によって2倍に延長できます。IC-4810に対応する中継器は、アイコム製の「IC-RP4100」です。もう一点付け加えると、オプションの「VE-PG3」を使用すれば、IP回線(ブロードバンド回線)を通じてIC-4810の通信範囲を拡大できます。たとえば、IC-4810とIP電話で通話を行うことも可能です。
IC-4810の内蔵スピーカーは、700㎽と高出力。大音量で音声を再生できるため、騒音が気になる環境でもストレスなく通話を行えます。
また、IC-4810のアンプにはBLT方式(2つのアンプ回路を使う方式)が採用されており、スピーカーから再生される音質はクリアです。つまりIC-4810から再生される音声は、大音量かつ高音質。小型トランシーバーでありがちな、音声の聞き取りにくさは皆無です。
IC-4810の使用可能時間は、付属のリチウムイオン電池を使った場合で約18時間です。これでも十分長時間といえますが、オプションのリチウムイオン電池「BP-274」を使用すれば、より長時間の連続稼動が可能となります。
BP-274使用時のIC-4810の稼動時間は、最大31時間。丸一日以上の連続使用が可能となります。ちなみに、BP-274の電池容量は1,800mAhと、トランシーバーのバッテリーとしては特別大きいわけではありません。
長時間駆動を実現できる理由は、IC-4810本体にあります。IC-4810が省電力設計になっているからこそ、連続使用31時間のロングライフを実現できるのです。
IC-4810は、IP57の防塵防水規格に準拠しています。IP57とは、「IP5X」の防塵性能および、IPX7の防水性能を満たすことを示す、規格上の表記です。
IP5Xに準拠する電気製品は、機器の機能に影響しないレベルまで、粉じんの侵入を抑えることができます。またIPX7に準拠する電気製品は、水深1mに水没させても内部に水が侵入しません。
IP57に準拠するIC-4810は、工事現場での利用や、アウトドアレジャーでの使用といったハードユースにも余裕で対応できます。
IC-4810の通信方法は、個別呼び出し機能OFFと、同機能ONの2タイプに分けられます。基本となるのは、個別呼び出し機能OFFでの通信です。
個別呼び出し機能OFFの通信は、「チャンネル番号」のみを設定するか、チャンネルと「ユーザーコード」を設定して行います。チャンネル番号とは周波数のことであり、トランシーバーの通信に欠かせない要素です。
ユーザーコードは、同じチャンネル番号で通信するトランシーバーとの混信を避けるために使用します。各トランシーバーのチャンネル番号とユーザーコードを一致させて通信すれば、第三者の通信機との混信が起こりません。
個別呼び出し機能ONの通信では、同機能OFF時の設定に加えて、「個別ID」と「グループ番号」を使用します。個別IDは、使用する各トランシーバーを識別するためのコードです。グループ番号は、個別IDを設定したトランシーバーの組分けに使用します。
個別呼び出し機能の設定を行えば、グループID単位の呼びかけ、個別IDへの呼びかけ、全グループへの呼びかけの3パターンを行えるようになります。部署ごとにトランシーバーを配備するようなケースにおいて、個別呼び出し機能の設定は必須。IC-4810の通信設定を上手く使いこなせば、効率的な通信環境を構築できます。
IC-4810の類似製品に、アルインコのDJ-R200Dがあげられます。DJ-R200Dは、アルインコの特定小電力トランシーバーの中ではハイエンドに位置するモデルです。DJ-R200Dの出力は、IC-4810と同じく10mW。通信可能距離も、IC-4810とほぼ同じです。
一方、防塵防水機能では、DJ-R200DがIC-4810を上回ります。DJ-R200Dの防塵防水等級は、IP57よりワンランク上のIP67。防塵機能がIC-4810より高く、粉じんの侵入を完全に防ぐことができます。
このほか、IC-4810にはないDJ-R200Dの特徴としてあげられるのが、高機能な通話モードです。DJ-R200Dは、通常の単信方式(交互に通信する方式)だけでなく、同時通話を利用できます。つまり、電話と同じように、送信と受信を同時に行えるのです。同様の通話モードは、IC-4810では使用できません。
ハイエンドモデルを名乗るだけあって、DJ-R200Dはかなり高性能です。ただし、スピーカー出力は400mWと、IC-4810ほど高くありません。また、実売価格を比べると、DJ-R200DはIC-4810より4千円ほど高額です。
以上をまとめると、機能の多彩さを求めるならDJ-R200Dを、音質のよさとコストパフォーマンスの高さを求めるならIC-4810を選ぶべきといえます。
IC-4810が活躍するシーンとして、解体作業現場があげられます。建物の解体を行う現場は砂ぼこりが舞いやすく、防塵機能のないトランシーバーでは故障しかねません。
そんなタフさが求められる解体作業現場においても、防塵性能に優れるIC-4810なら安心して使用できます。また、高出力スピーカー搭載のIC-4810なら、解体にともなう騒音の中でもストレスなく通話することが可能です。
解体作業現場にIC-4810を導入するなら、重機のオペレーターと主任クラスの作業員および、交通整理係の人数に合わせた台数をそろえたいところです。作業を円滑に行えるように、ヘルメットタイプのイヤホンマイクも同時購入することをおすすめします。