端末名・型番 | FTH-307 |
メーカー | バーテックススタンダード (販売元:八重洲無線) |
定価(税別) | 15,800円 |
出力 | 10mW |
電波・ 使用可能範囲 | 300m〜1Km (中継器で延長可能) |
周波数帯 | 420MHz/440MHz(中継器使用時) |
チャンネル数 | 20ch+27ch(半復信・中継装置使用時) |
防塵・防水機能 | IP55 |
本体重量 | 82g |
本体寸法 | 幅:46.0 高さ:80.0mm 奥行:22.0mm |
付属品・ オプション | 付属品:ベルトクリップ オプション:FNB-135(ニッケル水素電池)、 MH-381(小型タイピンマイク)など |
免許の要不要 | 不要 |
通信方式 | 単信方式および反複信方式 |
電信感度 | −8dB μ V 以下 |
定格電圧 | DC 1.2V |
電池の種類・ 電池持ち | 単三アルカリ乾電池/約28時間使用可能 ニッケル水素電池「FNB-135」/約33時間使用可能 |
「FTH-307」は、無線免許や登録申請なしで利用できる「特定小電力トランシーバー(特小)」です。購入してすぐに使える点が、特小の魅力。イベントやレジャーで急遽トランシーバーが必要になった場合でも、特小なら手続きなしで使用できます。
誰でも簡単に使える反面、FTH-307の出力は10㎽(ミリワット)と、トランシーバーとしてはパワフルではありません。とはいえ、見通しのよい場所なら最大1㎞、市街地でも最大300mまでの通信を可能としています。
また、FTH-307は中継器に対応しており、通信距離を伸ばすことが可能です。たとえば広い工場やビルで使う場合も、各フロアやセクションに中継器を置くことで、安定した通信環境を構築できます。
FTH-307に対応する中継器は、「FTR-400」「FTR-500」「FTR-308」など。野外で使用するなら、防塵防水性能に優れるFTR-308がおすすめです。
FTH-307は、「IP55」の防塵防水に対応しています。IP55とは、「IP5X」の防塵機能と「IPX5」の防水機能を備えることを示す表記です。
「IP5X」は防塵規格の1つで、所定の条件下で粉じんにさらされても、機器に有害な影響が出ないレベルの防塵性能を指します。「IPX5」は防水規格の1つです。IP5X対応のトランシーバーは、あらゆる方向から水を噴射されても、通信機器としての機能を損ないません。
IP55の防塵防水を備えるFTH-307は、水に濡れやすい業務やアウトドアレジャーでの使用に適しています。たとえば、急流下りのような水を浴びるレジャーでも、FTH-307なら問題なく利用可能です。
FTH-307の主な通信方式には、「ノーマルモード」と「グループモード」の2つがあり、各通信モードには「秘話モード」をプラスできます。つまり、FTH-307の通信方式は全部で4パターンです。それぞれの通信方式について、詳しく見ていきましょう。
まずノーマルモードは、同じチャンネルに合わせたトランシーバー同士で通信する方式です。もっともシンプルな通信方式で設定も簡単ですが、同じチャンネルを利用する第三者のトランシーバーと混線する可能性があります。
グループモードは、チャンネルと「グループコード」を合わせて通話する方式です。グループコードを共有しないトランシーバーは、チャンネルを合わせても通信に参加できません。業務やレジャーでFTH-307を使用する場合、グループモードが基本的な通信方式になると思ってください。
グループコードは47種類あるため、多数の通信グループを作ることができます。47種類のコードで足らない場合は、108種類ある「DCSコード」をグループコードの替わりに使うことも可能です。
最後に秘話モードについて。秘話モードは、第三者による盗聴を防ぐための機能です。秘話モードを設定した機器の通話内容は、同モード未設定の通信機器では聞き取れません。なお、秘話モードはノーマルモードおよび、グループモードと組み合わせて使用します。
以上の各種通信方式を駆使すれば、安全性を保ちつつ、多様な通信環境を構築することが可能です。ただし、市販のトランシーバーの機能では、盗聴を完全に防ぐことはできません。企業秘密や重要な個人情報は、トランシーバー以外の方法で伝達することをおすすめします。
FTH-307の類似製品として、ケンウッドの「UBZ-M31」があげられます。UBZ-M31も出力10㎽の特定小電力トランシーバーであり、最大1㎞までの通信が可能です。
また、UBZ-M31はIP54およびIP55の防塵防水規格に準拠しており、タフさはFTH-307と変わりません。トランシーバーとしての基本的な性能は、FTH-307とUBZ-M31で同等と考えてよいでしょう。
ちなみにUBZ-M31には、「ブラック」「イエロー」「シャンパンゴールド」の3カラーがラインナップされています。カラーバリエーションの多さに、丸みのあるボディ形状も相まって、UBZ-M31はトランシーバー特有の無骨さを感じさせません。カフェや美容サロンなどのオーナーにとっては、こうした見た目への配慮はうれしいポイントといえます。
FTH-307とUBZ-M31は同レベルのトランシーバーであり、どちらを選ぶかは好みで決めても問題ありません。ただし、ユーザーの口コミを見ると、UBZ-M31の評判は必ずしもよいわけではないようです。
トランシーバーの善し悪しは、スペックだけではわからない部分があります。使用者の感想や口コミ情報なども参考にして、最良と思えるトランシーバーを購入してください。
FTH-307が活躍するシーンとして、飲食店があげられます。水濡れに強いFTH-307は、調理場でも問題なく使用することが可能。オプションの「VOXヘッドセット」を使えば、完全なハンズフリーでの通信も行えます。
飲食店でFTH-307を利用するなら、ホール係全員分の台数は用意したいところ。さらに調理場と事務所にもFTH-307を用意すると、スタッフ同士の連携が取りやすくなります。調理場で使うトランシーバーは、1〜2台で十分でしょう。
飲食店の業務にFTH-307を活用すれば、オーダーへの迅速な対応や、料理を出すタイミングの調整などが可能となります。お客様からクレームが出た場合の情報共有も、FTH-307があれば容易です。
FTH-307は価格が安く、低コストで通信環境を整えられます。飲食店だけでなく、インテリアショップやアパレル店などにも、FTH-307はおすすめです。